最低賃金は時給 $26.44。ただし「これ以上なら正しい」とは限りません
結論
全国最低賃金(National Minimum Wage)は次のとおりです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 時給 | $26.44 |
| 週給(38時間) | $1,004.90 |
| Award・Agreement 非該当・21歳以上の Casual | $33.05(25% Casual loading 込み) |
いずれも税引前の金額です。手取りではありません。
新しい最低賃金は、2026年7月1日以降に始まる最初の完全な給与計算期間から適用されます。 給与計算期間が6月末から7月上旬をまたぐ場合、その期間の途中で新しいレートに切り替わるとは限りません。
実際の最低レートは、適用される Award・Agreement、年齢、見習い・訓練生かどうか、 就労能力、雇用形態、勤務する曜日や時間帯などによって異なります。 表の $33.05 は、Award にも Agreement にも該当しない21歳以上の Casual に適用される金額です ($26.44 × 1.25)。Fair Work Ombudsman の「Award and agreement free wages and conditions」に そのまま掲載されています。21歳未満(junior)は年齢別の別レートで、この金額ではありません。
ただし、ここからが本題です。この金額を超えていれば正しい、とは限りません。
多くの仕事には「Award」が適用されます
全国最低賃金が直接適用されるのは、Award にも Agreement にも該当しない従業員です。 Fair Work Commission の表現では “award/agreement free” employees。
実際には、カフェ、レストラン、小売、清掃、介護など、 日本人が最初に就くことの多い仕事のほとんどには業界別の Modern Award があります。
Award では、最低賃金より高い時給が定められていることがあります。さらに次のような手当も決まります。
- Casual loading(臨時雇用の割増)
- Penalty rates(土日・祝日の割増)
- 早朝・深夜の手当
- Overtime(残業)
- Meal allowance、Uniform allowance
- Junior rate(21歳未満の年齢別レート)
- Apprentice / Trainee のレート
- 職位・経験レベル別の Classification
つまり「$26.44 もらっているから大丈夫」と判断すると、 Award 上はもっと高いはずだった、ということが起こり得ます。
Casual loading は 25%
Fair Work Commission が定める 25% の Casual loading は、 Award にも Agreement にも該当しない従業員の Casual に適用されるものです。 有給休暇や病欠がない代わりの割増です。$26.44 × 1.25 で $33.05 になり、 この金額は Fair Work Ombudsman の公式ページにもそのまま掲載されています。
日本人が最初に就く仕事は Casual であることが多いので、確認してください。
- 21歳以上で Award・Agreement 非該当の Casual の場合、通常時間の時給が $26.44 だけなら、 25% の Casual loading が反映されているか確認してください
- Award 対象者は、該当する Award の Casual rate を確認します。 Award の Casual loading や割増は、この 25% と異なることがあります
- 21歳未満、見習い・訓練生、就労能力に関する別レートの対象者は、 そもそも基準となる時給が $26.44 ではありません
自分の時給を確認する手順
Fair Work Ombudsman が公式の計算ツール(P.A.C.T)を出しています。ここで調べるのが確実です。
- 自分の業界と仕事内容を確認する
- Full-time / Part-time / Casual のどれかを確認する
- 年齢、資格、経験レベルを確認する
- Pay and Conditions Tool で検索する
- 土日、祝日、夜間、残業のレートも確認する
- Payslip の勤務時間と支給額を照合する
Payslip(給与明細)は必ず保管してください。後から確認するときの唯一の記録になります。
よくある間違い
Cash job なら最低賃金は関係ないと思う
現金払いでも、最低賃金と労働法は適用されます。 「Cash だから安くて当たり前」ということはありません。
Trial shift を無給だと思い込む
実際の業務を行っている場合、Trial でも有給になる可能性があります。 何時間も店を回させられた場合は特にそうです。
ABN を取らされて Contractor 扱いになる
「ABN(事業者番号)を取ってきて」と言われることがあります。 しかし実態が従業員なら、Contractor 扱いにしていても問題になり得ます。 指示を受けて決まった時間に働いているなら、それは従業員の働き方です。
手取りと税引前を混同する
求人に出ている時給は通常税引前です。日本の感覚で手取りと比べると、 実際より高く見積もってしまいます。
求人広告に出ているから合法だと思う
違法な低賃金を求人広告に掲載することも認められていません。 広告に出ていること自体は、金額が正しい根拠になりません。
困ったときの相談先
賃金が支払われない、明らかに低い、といった場合は Fair Work Ombudsman が窓口です。 当サイトは個別の判断はできませんが、どこに聞けばいいかはお伝えできます。
公開前チェックリスト
- 全国最低賃金を Fair Work Commission で確認(2026-08-03・金爆)
- Casual loading 25% を Fair Work Commission で確認(2026-08-03・金爆)
- 21歳以上・Award/Agreement 非該当の Casual $33.05 を Fair Work Ombudsman で確認(2026-08-03・金爆)
- 適用開始が「2026年7月1日以降の最初の完全な給与計算期間から」であることを確認(2026-08-03・金爆)
- オーナーが公式3ページを直接確認して承認(2026-08-03)
- P.A.C.T ツールの存在と用途を確認(2026-07-27・金爆)
- 2027年7月の改定時に金額を更新する